会報『あすなろ』2014年4月号
支部長の独り言 『基本の大切さと耐性』
昔は(50~60年くらい前までのことですが)「結婚式の時に初めて夫となる人の顔を見た」などということは、それほど珍しいことではなかったといいます。それでも離婚などが今ほど多くなかったのは、人権意識の違いとか、当時の社会のいろいろな理由を考えても、最も大きな差は人の持つ耐性(ガマンする力)の違いではないかと思うのです。
生まれも育ちも違う2人が一緒に暮らすのですから、味噌汁の味1つだって同じはずがありません。それを「自分の好みじゃないから」と拒否してしまっては、何をやってもうまくいくはずがありません.人との付き合い(どんなことでも同じですが)では、まず相手を知る(理解する)こと、そして自分との違いを認め、それを楽しめれば最高ですが、できなくても、せめてそれを拒否しないこと。そして何か問題があったとき、常に自分が変われるゆとりを持つこと。この3つなくしては良好な人間関係など作れるはずがありません。空手の稽古でも同じです。まず基本の動き(当然ながら、日常やっている動きとは違います)を理解します。空手の動きは以前にも述べたように、過去何千何万という人々の試行錯誤の結果できあがったものですから、確実に個人が一生のうちに習得できるものより優れているのです。基本の動きに初めは違和感を持つかもしれませんが、科学的(力学的)に見ても、理に適ったものが多いのです。
次にその動きを取り入れ自分のものとします。今道場では、準備体操の後必ず基本をやっています。正しい手の動き、腰の使い方など、単調ですが、ものすごく大切なことなのです。初めから変な癖をつけてしまうと、それを直す方が、初めから習うより何倍もの時間を要します。私事ですが、見よう見まね(自己流)で始め25年もやったゴルフですが、ある時期から全く上達しなくなりました。何とかしようと、いろいろな人に教わり、プロにも見てもらい5年経ってたどり着いたのが『全くの基本からのスタート』でした。間違った練習(稽古)は、何回やっても間違いなのです。結局、手の握り方から初めて少しずつ良くなっていますが、緊張すると昔の悪い癖が出てしまいます。つまり、上達という観点で見ると、ゴルフに関しては三十数年の経験のうち28年は、無駄、というより間違った動作を身にしみ込ませてしまったマイナスの経験となってしまったのです。
最後に大切なのが、自分がうまくなりたい、強くなりたいという意識を常に持ち続けることです。このやる気が継続していれば、必ず目に見える成果が現れてきます。
努力して身につけた基本は、空手を続けていく限り一生の財産となります。そして人が嫌がる寒い(暑い)時に、単調な基本を繰り返すような稽古は、心の耐性を作るのに最も適したものです。心に耐性を身につけた子は、幸福の幅(前号で述べた考え)を大きく取ることができ、文頭で紹介した、昔の結婚生活の話のように、現状の中でやるべきことを見い出し、自分の生活の中で幸福を見つけることができるようになる。そして、幸せな人生を送れる可能性が高くなるものと信じています。
支部長 重田紀元
