会報『あすなろ』2014年12月号

支部長の独り言 『何を求めるか』

 

最近、寒くなってきたせいか稽古に参加する人数が減っているように思います。体調の悪い時もあるでしょうし、家庭の用事がある時もあるでしょう。あるいは、何となくダルいな~、なんて時もあると思います。自分自身のことを考えても、空手は責任がある立場なので仕方ないですが、柔道のように「自由参加」だと、行くまでが、とにかく億劫です。行って汗をかいてしまうと、「頑張って良かった~」となるのですが…。

手前味噌になりますが、我が中央支部のレベルは確実に上昇していると思います。特に頑張って休まず来ている子は、本当に強くなってきていると思います。ただ何度も言うことですが、小中学生が空手の大会で優勝するようになっても、それで将来プロとして食べていけるわけではありません。空手の素晴らしさ(先人の知恵・努力)を知り、生涯にわたって強い心と体を維持し『幸せな人生』を送れる方がはるかに大切だと考えています。だからこそ、空手を“勝ち負けだけが重視されるスポーツ”としてとらえていくことに、疑問を持つのです。前号でも述べたように、空手を単なる手足を使ったポイント取りゲームにして広めること(値段を落として世界中に売りさばくようなこと)よりも、礼儀正しさ、相手を思いやる心、自らを鍛え、人生の指針となるような武道として、残していくべきだと思うのです。 今でも、真の武道の心を求めて、外国から日本に学びに来る人々が、たくさんいる(本当に素晴らしい物Made in Japanはいつの世になっても飽きられることがない)のです。それを失わない方が、結局は空手(武道)の素晴らしさを後世に残していけるし、空手を学ぶ価値があるのだと信じています。

人生も同じです。小中学生の大会で金メダルを狙うことは、悪いことではないと思いますし、我が子が他人よりも優れているという優越感を味わうことも悪くはありませんが、そのために(人間として生きていく上で)大切な物を失ってはならないのです。その子が将来独り立ちしてからの人生を見越した、トータルの人生を考えてやるべきです。幸いに、「型の面白さがわかってきた」などと、ちょっと大人びた発言が、ある子の口から出ました。型は自分との戦いです。“自分の成長を(少しずつ)感じていく幸せ”は、人生の大きな喜びの1つです。また型の稽古は、体を自分の意思通りにコントロールする必要があり、成長期のトレーニングとしては最適なものの1つです。我が子に、プロゴルファーを目指させる親が「もっとボールが飛ぶように」と筋トレをさせている。という話を聞いたことがありますが、人間の成長の仕組みを考えると、何も良いことはありません。体が完成するまではいろいろなプロセスがあります。ただ何が何でも慎重にすることが大事ではありません。時には限界を超えさせることも必要です。限界を超えることで、体は「このままではいけない」と判断し、更に強い体を作ろうとします。ただ大人は、子どもと違って、オーバーワークは厳禁です。限界を超えても成長できませんから、故障してしまいます。ですから自分のペースで基本を中心に型と護身を中心としたトレーニングをメインで行っています。大人・子どもそれぞれ目標に向けて、自らを鍛えていける道場であり続けたいと思っています。

支部長 重田紀元

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