会報「あすなろ」2017年7月号「強ければいい?」
今卓球が大きなブームになっているといいます。
かつて日本は卓球王国と呼ばれていた時期がありました。観光地の温泉場には卓球台がおいてあり、
お客は浴衣姿で遊んでいる。というほどポピュラーなスポーツでした。
その後中国が国策として選手強化を打ち出す中、日本は卓球=ピンポン=温泉場の遊び、という
レベルの認識、そして、空調設備が整っていない時代に窓を閉め切って光の差し込まない部屋で行う
卓球は暗いイメージが定着し、卓球人気は徐々に衰退していきました。
そんな中、1人の卓球少女(もちろん福原愛選手)のスパルタ教育の様子が『泣き虫愛ちゃんの活躍』
としてメディアに登場。それをきっかけに、若い母親たちが自分の子どもに卓球をやらせる→強い選
手が生まれる→マスコミが応援→卓球人口が増加というサイクルが卓球王国復活のきっかけとなった
と言われています。
近年は絶対王者の中国を破る場面も出てきて、スポーツにおけるナショナリズム的発想をさらにエス
カレートさせています。
卓球の有名選手の収入は年々上昇し、水谷選手はリオ五輪で銅メダルを獲得して以来、TV出演が
増えたこと等もあり年収も約1億円と言われています。そんな中で話題に上がってきたのが、テニスの
錦織圭選手です。日本人スポーツ選手として最高年収36億円を稼ぎ、テニス人気の原動力となってい
ます。
最近その彼が、試合でイライラが募ってくるとラケットをコートにたたきつけ破壊する行為が放映され
ました。プロとして、子ども達の憧れの対象として、自分のイライラを物(まして大切な商売道具)にぶつ
ける行為はどうなのか?マナーが悪過ぎるのでは?と批判が集中しているのです。
「水谷隼選手に憧れていた」という張本智和少年は、リオ五輪で水谷選手がポイントを取るたび雄叫び
を上げ、勝利の瞬間、床に寝そべった姿を見て「自分も同じような(目立つ)パフォーマンスがしたいと思っ
た」と言います。その後彼は、メキメキと力をつけ「チョレイ!」という意味不明な雄叫び(何故そう言う
のか、本人もわからないと言っています)を発するようになりました。マスコミは面白がって?これを取り
上げています。
彼の行動(1ポイント取る度に、相手に向かって「チョレイ」と雄叫びを上げ、走り回ってガッツポーズ)
を空手の試合で行ったとしたらどうでしょうか?戦う相手に礼を尽くす『武道精神』は、これっぽっちも見
えませんし、ポイントは取り消されてしまうはずです。
東京五輪で金メダルを期待される張本選手の幼い心は、今後「勝てれば何をやっても許される」事を学ん
でいくのです。
大人になって、チャンピョンになった時に「品性がない」とか批判を浴びても、彼には理解されないはず
です。
錦織選手も子どもの頃から、超一流の選手がラケットをコートにたたきつける姿を見て育っているのです。
スポーツは結果が全てです。残念ながら、今の日本は“東京五輪で(金)メダルを何個取れるか”が最大の関心
事で、選手の心の成長は求められていません。
先日バドミントンで「元世界ランク2位の選手(リオ五輪でメダル獲得を有望視されていた)が復帰した
ニュース」が流れていましたが、日本のスポーツ界(選手)は、同じ過ちを繰り返して欲しくないものです。

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