会報「あすなろ」2018年3月号 「夢のような話(その先にあるもの) 」

「殺気!」

武士は物陰に隠れた刺客の刃をかわすと、素早く反撃し敵をやっつけた。

と、時代劇ではよくあるシーンです。

実際に人の気配など感じることがが可能だったのでしょうか?

現代においても、気功の達人が気合だけで数名の猛者を跳ね飛ばす、など

世の中にはちょっと信じられないこと、科学で解明されていないことがたく

さん有ります。

例えば『視線』もそうです。誰かに見られている感じがして振り向いてみ

ると、実際に見ている人がいた。こんな経験は誰にもあるものです。

しかし、この視線のエネルギー?は、今の科学でその力?を説明すること

はできていません。

こんな事を考えると冒頭のシーンようなことも実際に存在していたのでは…。

という気持ちになってきます。

毎年年度末に、本部の主催で行われている国際セミナー。

たくさんの国の人が、館長、主席師範はじめ本部指導員の指導を受けに日本に

やってきます。

特に宗家の人気は未だにすごいもので、たくさんの人が宗家との2ショットを

来日のお土産?にしています。

そこに外人に大人気の講師がいます。

イタリア支部の三浦勝先生です。私も先生のお話と実演?を見るのをいつも楽し

みにしています。

80歳近い先生は、とても小さな体(155cm)なのです。その先生が「本気で突い

てきなさい」と190cm級の外人さんに言います。

彼は、そんな小さな老人に…と初めは遠慮がちに突くのですが、スイ~スイ~と

躱されるうちに本気になりものすごい形相で突いていきます。

何本かの攻撃を受け流した先生は、大男をコロンと転がして顔面に突き(もちろん

寸止め)。今度は向かい合って、肩に手を置きムンっと力を入れる(ほとんど先生の体

は動かない)と相手は突きを受けたようにはじき飛ばされるのです。

私も実際に先生の力を体験し講義を聴きました。何度練習してもそれ(ほとんど動か

ず、相手を跳ね飛ばす)はできなかったのですが、少なくても“私たちが稽古を続けてい

る延長線には、信じられない人間の力が存在する”ことを、この目で見ることができた

のです。

三浦先生は「宗家からの指導で、そういった力を得ることができた」とおっしゃって

います。

私の独断ですが、現在の本部の指導員でも三浦先生のレベルに達している人はいない

ように思います。しかし、宗家や三浦先生の指導を受け、稽古を続けるうちにいずれは、

別世界の空手を手に入れられるようになるのだろうと思います。

私自身はそのレベルに達することはないと思いますが、三浦先生曰く「基本をしっか

り丁寧に続けること」の教えを守り、少なくても健康とそこそこの強さは手に入れられ

るものと思っています。

12月号でもお話ししたように、基本も外から見える形だけを行うのではなく、呼吸の

方法や、力を入れる・抜くなどの見えない部分(突きも、広背筋を活用するのだそうですが、

週3回程度の稽古では、身に付けられないのかもしれませんが…)も意識して稽古に取り組

んでいきたいものです。

前号でも述べたように、一般の生活の中で『究極の強さ』を求める必要はないのだと思

います。でも、人間の素晴らしさ(可能性)を感じて稽古していけたら、また違った喜びも得

ることができそうです。

 

平成30年3月1日

支部長  重田紀元

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