会報「あすなろ」2019(令和元年)年5月号 「親子鷹」
今、いろいろなスポーツを指導しようとすると、指導資質向上のためスポーツ少年団認定員等の資格が
必要となってきています。これは年に何度か千葉県のスポーツ協会が主催して各地区ごとに講習会を
行っています。
先日、南総地区の認定員育成講習会に行ってきました。受講者に「なぜこの資格を取ろうとしたか」
を聞いてみると、一番多かったのが「学校卒業以来縁が無かったが、我が子がスポーツを始めたのを
機に、親子で楽しみたい」でした。確かに、親子揃って同じスポーツで汗をかいて、苦楽を共にでき
たら素晴らしいと思います。
ただちょっと心配なこともあります。それは親が子に“自分が叶えられなかった夢を託す”
つまり「プロにしたい」とか「トップアスリートに」という場合です。ただ「楽しく一緒に汗を流せ
ればいい」というのとは違った問題が生じてきます。
ある道場では、空手未経験の親を積極的に指導者の補助役としているそうです。親が我が子をマンツー
マンで指導します。形の稽古では、親が付きっきりで先生に言われたことができているかチェックします。
先生は、あちこち回って正しい型との『ズレ』だけを指導します。
親は我が子の上達に直接関与できるのですから、誰より熱心に指導ができますし、喜びも大きいのです。
指導者からしても最初に指導すれば、繰り返しは親が見てくれますので、時々チェックして訂正すれば
いいので、かなり効率的です。
こう書くと一見良いことずくめのように思えるのですが、子どもが“親の言う通りにできない”などという時、
親は空手の経験がありませんから、具体的な難しさがわからないので「なんでこんな事ができないんだ」と、
我が子だけに感情的になったりします。
こうなると常に一緒にいる親子の間柄では深い溝が生じてしまう場合があります。
これが指導者が他人ですと、指導者にその原因を背負ってもらえば良いので、親子の関係は維持することが
できます。
何度も言うことですが、トップクラスになれば十分な収入が得られるスポーツとそうでないスポーツが存在し
ます。野球やサッカー・テニス・ゴルフといったスポーツのトップ選手は、億単位の年収を得ることができます。
しかし残念ながらバスケ・バレー・ソフトボール・武道など多くの競技では、例え日本一になっても夢のような収入
を得ることはできないのです。
つまり収入だけを考えるのであれば、武道などは「割に合わない」ことになります。
さらにどんなに好きなスポーツでも、職業となると「楽しさ」だけを追い求めることはできなくなります。
漫画家の“さいとうたかお”さんは「2番目に好きなことを職業に選んだ」と聞いたことがあります。
大好きな趣味やスポーツは、やって楽しいのが前提で、あくまで人生を楽しむアイテムとして残しておいた方が
良いという考えなのでしょう。
莫大な収入を手にする可能性があまりないのであれば、がむしゃらに職業としてのスポーツ選手を目指す以外の
道もたくさんありそうです。
とにかく週に2~3回の稽古を続けていければ、健康と自分と大切な人の身を守れる程度の強さは維持していけ
そうです。
なら“人生の幸せを見いだせる力を持つこと”を目標とするのも悪くないかもしれません。
どちらにしろ『継続は力なり』です。

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