2021年 あすなろ7月号【うら面】「日本、いや人類の将来は…」

栃木県に『自治医科大学』という学校があります。

医師国家試験合格率は99%と、全医学部中でNo1の成績である医学部なのに、学費がタダ。

国立?と思ってしまいますが、各都道府県がお金を出し合って設立した私立大学です。本当に

タダか?と調べてみると「学費は6年間で2300万円(医学部としては格安)」と出てきます。

つまり“学費がタダ”というのは正しくありません。しかし、入学した学生は、学校に1円も

学費を払いません。借用書にサインをして“入学時に2300万円を借りる”という形にするのだ

そうです。

しかし、借りたお金は返す義務があります。

この返還義務に代わるのが「義務年限9年(卒後最低9年間は出身地(受験地)の公務員として、

自治体の指定する病院で勤務することが義務付けられている)」。つまり、指定の都道府県の病

院で地域医療に一定期間従事することにより、借金はチャラになるという仕組みです。

5月17日、自治医科大学では「医学部生5人がコロナに感染した」と発表し、700人超いる

学生はクラスター発生のため、同29日まで2週間の自室待機となりました。

シャワーを浴びる時間以外は一切外出禁止。

そんな中、ある学生が「牛乳とヨーグルトが欲しい」と支給食に注文を付けると、寮担当の教授が、

次のようなメールを流しました。

「病気によりこのような物を摂取する必要があるのであれば、その旨改めて連絡しなさい。そうでな

ければ、自治医大を退学して幼稚園へ行くことを強く勧めます」

これに腹を立てた?学生がSNSにこのことを上げ、「NEWS ZERO」が『暴言メール』と報じました。

いつも感じることですが、タイトルの付け方1つで受け取る側のイメージは大きく変わります。

『教授の返信メール』を『暴言メール』とすることで、明らかに“教授は酷い奴だから懲らしめてやろう”

という、報道サイドの意志を感じるのです。教授は、同局の取材に対し、医師に必要なプロの見識を学生

に教えており「ここまで言わないと分からないのが結構いる」として、行き過ぎだとは思わないと話しま

した。

ツイッター上などでは、教授の行為について「こんなメールが飛んでくるの怖すぎ」などと批判も次々

(この「次々」という言葉も、僅かな意見をあたかも大勢のように思わせる表現)に出ている、と報じました。

自治医大は、卒業後に9年間へき地医療などに携わることを条件に莫大な学費を免除していることから

「学生寮のストレスに負けるようでは、僻地での住み込み生活にはとても耐えられない」と指摘している

そうです。※このニュースはあっという間に報道されなくなりました。

今回、もし教授が「申し訳ございません」と謝ったら、どうなったでしょうか?それこそ、各TV局が

一斉に教授を責め立てていたはずです。そして700人の学生の、たった1人のワガママが通り食事など改

善されたかもしれません。しかし、長い目で見れば学生達は“辛い状況を必死に耐え、精神を鍛えるチャン

ス”を奪われる所でした。

自分以外医者がいない土地で、重傷患者が出たとき「自分の専門じゃないから…」などと治療を放棄して

しまうような医者を大金をかけて養成する学校ではないのです。それこそ不便な土地で、何でもこなして

いく万能医(実際にそんな医師がたくさん働いているのです)になってもらうため『厳しさ』が要求される

のが当たり前ではないでしょうか。今の日本で、まだこんな教授がいてくれることが『救い』です。

今回の出来事から、2つのことが見えてきます。1つは“長い物には巻かれろ”式のマスコミの報道姿勢

です。相手(特に上級国民?)が弱いとなれば、徹底的に攻撃する。しかし、いい加減な報道に動じない姿

勢の者に対しては、すぐその話題を取り下げ、何もなかったかのように振る舞い謝罪もしない。もう1つ

は“今さえ楽に過ごせれば、将来なんてどうでもいい”という社会の風潮です。環境保全の問題なども盛ん

に報道されますが『未来のため・子孫のために』という思いがなくなったら、100年後、1000年後の人類

は、どうなっているのでしょうか。

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