令和5年11月号 うら面「基本の大切さ」
長く道場に通っている方々は、何度か会報で話題にしているので、ご存じ
のことと思います。“私のゴルフの話”です。学生時代東京で、音響メーカ
ーのヘルパー(デパートや家電専門店で、自社の商品の販売促進をする仕
事)さんをやっていました。運良く『採用試験』に合格し、袖ケ浦の中学
校に赴任してから、ゴルフと空手を始めました。体(関節)が固く、蹴上や
蹴込、後屈立ちなどは、なかなか身につきませんでした。しかし、時間は
かかりましたが、その間しっかり基本を繰り返し、なんとか習得(今でも
完璧にはできませんが…)できました。型もなかなか覚えられず(仕事で稽
古ができないこともあり)、黒帯を手にするまで5年近くかかりました。
ゴルフは、職場の先輩にいきなり「打ちっ放し」の練習場に連れて行か
れ、何も分からないままボールを打つ練習を繰り返しました。体を動かす
ことは好きでしたので、ゴルフも空手も40年以上、休み無く続けています。
空手は、必ず『基本』をやってから、組手や型の稽古に移ります。ゴルフは
毎週末、打ちっ放しと、たまにコースで本番。空手は、何とか“人に「空手を
やってます」と言えるレベル”にまでなれた気がしますが、ゴルフは25年経っ
ても、初級者レベル。「これでは、いけない」と思い練習場のレッスンプロに
教わることにしました。ようやく基本を教えてもらい、理屈も理解しました。
それから15年以上経ちました。今は、ほぼ毎日練習していて、練習場では何と
か『良い球』が打てるようになってきましたが、コースに出ると(緊張してしま
うのか?)昔のフォームで球を打ってしまうのです。
いったん身についてしまった癖を取ることが、どれだけ大変なことか…。
人間が1つの動作をするためには、脳の神経細胞が「手をこのように動かせ」と
いう命令を出し、リレーのようにいろいろな細胞を通過します。例えば、左の図
を見て「ろ」から出された命令は(あみだくじであれば×にしか行きませんが)隣
り合ったいろいろな神経を通って次のセクションに伝わります。初めはいろいろ
な細胞をランダムに通っていた命令は、やがて一番効率の良いルートを見出し、
その神経伝達経路が太くなります。こうなると“体が勝手に動く”状態になり“その
動作が身についた”といわれるようになります。野球や剣道、テニス…いろいろな
スポーツで『素振り』を何度も何度も繰り返すのは、そういった意味があるのです。
ただ、私のゴルフの素振りのように、一度身についてしまうと、自然にその動きが
出てしまうためなかなか修正が効かないのです。「間違った稽古は、100回やっても
間違い」道場生に繰り返し言う言葉は、自分自身にも言っている言葉なのです。
ですから、うちの稽古は、必ず初めに基本の動作を行っています。例えば「今日は、
1時間だけ稽古して帰ろう」という日があったとしたら、遅れてくるのではなく、
できれば早い時間の基本をやって、帰って欲しいのです。

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