会報「あすなろ」2024(令和6年)年8月号「○○依存症…」
相変わらず大活躍の大谷選手ですが、シーズン当初は元相棒であった水原一平氏
の悪行三昧が報じられていました。その度に、ギャンブル依存症という言葉が使
われ「病気なんだから、個人を責めても仕方ないのだ」という見解が示されまし
た。今の世の中(人権意識が高いのか)何でもかんでも、病気のせい環境のせいと、
まるで個人には責任がないかのような報道がなされます。薬物やギャンブルなど
の依存症は、ウイルスや病原菌の感染で発症する訳ではありません。ですから隣
にギャンブル依存症の人がいても、それだけで周囲の人に感染させ迷惑をかける
ことはありません。確かに“罪を憎んで人を憎まず”という言葉もありますが、や
はり個人の責任に目を向けで行くべきなのだと思うのです。
『因果応報』という言葉があります。全てのことに原因と結果があるように、
薬物でもギャンブルでも、興味本位で手を出した「自分」がいるのです。そして、
ギャンブルをする人全てが依存症になるのではなく、(生活を壊さず)娯楽として楽
しんでいる人はたくさんいるのです。ですから依存症になるかどうかは、明らかに
その個人に原因があるのです。依存症になってしまったら、病気と同じで治療が必
要なのかもしれませんが、そうなるまでは、誰のせいでもなく自分の責任なのです。
残念ながら、今の社会は“自己の責任より、法やシステムの不備に責任を押しつけ
る”ようになっています。学校教育の中でも「最後まで頑張れ」という言葉は聞かれ
なくなって「無理しなくていいよ」という姿勢が当然のようになっています。かつ
て「巨人の星」というスポ根アニメで描かれたような景色は、見ることができませ
ん。ある少年野球のコーチが「最近の子は、ノックでちょっと離れた所に行くと、
もう動かないんだよね」「何で飛びついて取りに行かないんだ」と言うと「だって
届きっこないもん」という言葉が返ってくると嘆いていたそうです。確かにどう頑
張っても20cmくらい届きそうにない球をコーチは打っています。でも、もしかした
ら球がイレギュラーバンドして自分の方に来るかもしれません。その時に“取りに行
く”という動作に入っていたら、ボールをキャッチしてアウトにできるかもしれませ
ん。子どもの頃から「無理はしなくていいんだ」「辛いことはしなくていいんだ」
「悪いのはあなたじゃないんだ」と育てられてきたら、私がいつも言うところの
『幸せな生活』なんて送れるはずがありません。人生、いろいろ失敗することがたく
さんありますが、その度に自分の弱点をしっかり見つめ、修正していくことで心の成
長がなされるのです。稽古の中で、私がよく言う言葉が「しっかり(見て)狙って突き
や蹴りを出しなさい」です。初めはうまくいかなくても、狙い続けるからこそコント
ロールされた突きや蹴りが出せるようになるのです。稽古で自分が上達(向上)してい
く喜びを見い出せた人は、長い人生の中でも、きっと“自分が幸せな人間である事”を
見い出していけるはずです。幸せは『比較』の中にはありません。
性善説は生き残れるか…
先月行われた東京都知事選、前代未聞の事柄がたくさん起こりました。まず立候補者
数が過去最多の56名。しかも本気で知事を目指し、都政の舵取りをしたいと立候補
した人はほんの一握り。時代遅れの公職選挙法の不備をついて、ある政党が“候補者枠
を買い取り、営利目的で販売する”事態となりました。その結果、選挙に全く関係のな
いポスターが貼られたり、候補者のポスターが貼りきれないと言われているのに、空
白だらけなどという異常な事態となりました。
今の日本の法律の多くが、第二次世界大戦敗戦後に作られたと思います。法律の専門
家ではないですから、それが正しいかどうか分かりませんが…。少なくともその頃の
法律の理念は、性善説。日本人は誇り高い民族なんだから…、こんな意識があったと
思うのです。実際、私が若い頃旅行で訪れた南方の島々の人々から「かつてこの土地
を外国が占領していた期間があったが、日本が統治している時が一番いい時代だった」
という話を聞いたとき、日本人である事をちょっぴり誇らしげに感じたものです。しか
し現在は、当時では想像もできないほど、通信手段は発達し、コミュニケーションの方
法も変わってしまいました。当時の常識で作られた法律は穴だらけ。その不備を見つけ
ては、自分に都合のいいように解釈し運用しようとする人がどんどん増えてきました。
そのきっかけの一つとなったのが、8年前に政治経験ほぼ0であるビジネスマンであ
ったトランプ氏がアメリカの大統領になったことだと思っています。彼は“アメリカ第一
主義”を掲げ、他国との友好よりも自国の発展を優先しました。世界の警察と称された
世界最強国が、突然「自分のことは自分でしなさい、私は面倒みないよ」となったので
すから…。トランプ氏は1期で大統領の座を退きましたが、再び大統領選挙に出馬、
暗殺未遂事件などを経て、再度世界最高の権力者の座に返り咲くだろうと言われていま
す。確かに彼のやり方をすれば、ウクライナ問題もすぐ解決すると思われます。
「強盗だ」と警察に駆け込んだら、警察官から「侵入されるあんたが悪いんだ。強盗は
欲しいものを持って行けば、すぐ出て行くよ」と言われるようなものです。確かに強盗
は出て行くでしょうが…。パリオリンピック代表の19歳の選手が、飲酒と喫煙で代表の
座を辞退したことで、賛成・反対多くの意見が出されました。法律を破ったって、スポー
ツの才能があるんだから、オリンピック代表辞退はひどいんじゃないか。という意見と、
やはり国の代表として出場するには、それなりの人格者であるべきだ。という意見に分
かれていました。世界最高の権力者が、平気で他人を侮辱するような人間でもリーダー
としての能力が大切なんだ。という発想とスポーツで勝つためには、人間性よりも能力
が大切…。よく似た思考だと思います。
「人格完成に努めること」は、稽古の最後に唱える五条訓、最初の言葉です。

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