令和4年5月号 うら面「民主主義ほど、面倒なものはない」
かつて木更津周辺から、静岡・岐阜方面に行こうとすると、アクアラインを渡った
後、一度16号(一般道でいつも渋滞)に出て、横浜町田ICから東名高速に乗るのが一般
的でした。ところがK7(神奈川北線)が開通し“横浜青葉ICから東名高速に直接乗り入
れが可能”となり、格段に車での移動が楽になりました。誰しもが、車を運転していて
感じるのは、道路の整備状況です。特に、細く信号だらけの町中の道のバイパスが作ら
れると、道路整備のありがたさを感じます。
しかし日本で、道路を作るのはとても大変です。土地代のかからない地下に作ろうとし
ても、地上で土地の陥没があれば「地下工事が原因では?」と、工事が差し止められて
しまいます。民主国家と言われる国では『個人の権利』がとても大切にされます。成田
空港の滑走路がいまだに真っ直ぐにできないことなど、どう考えても、公共の利益にな
るであろう事でも“個人の承諾なしではできないこと”がたくさんあるのです。
国連総会緊急特別会合で、ウクライナへの一方的な侵略行為に加えて、一般市民の虐殺
行為が明らかになった後に、ロシアに対して出された「非難決議」ですら193カ国中、
賛成は141カ国。反対は5カ国、棄権は中国やインドなど35カ国でした。ここで注目す
べきは、あれだけ国際法や条約を無視して、(どんな理由があるにしろ)主権国家を一方
的に侵略し、何の罪もない一般市民を虐殺しても、平然と「フェイクだ」と言い放つ国
に対して『反対』でなく、『棄権』した国が35もあった、という事実です。それは
『人権問題』に関しては、あまり干渉されたくない国(政府)が多いということなのです。
日本のように、公共の利益となる事業を行おうとしても、たった1人の反対で中止せざ
るを得なかったり、防犯カメラに映る犯罪者にモザイクをかけ人権を保護したりという
のは、為政者にとっては、とてつもなく面倒なことです。中国のように“どんなに反対す
る人間がいても、力で制圧し、やりたいことをやる”方が遙かに都合が良いのです。世界
に目を向けてみれば個人の権利をある程度(独裁国家になれば、限りなく)制限することは、
普通に考えられることです。ですから現在、世界でもっとも多い統治形態は民主主義の理
念を掲げる独裁国家で、62ヵ国(世界人口の43%)あるといわれています。
先日のフランス大統領選挙で、現職のマクロン氏が再選されました。今回の選挙は極右
政党のルペン氏との決選投票で、かろうじて勝利を勝ち取った形で、この結果は今後のフ
ランスだけでなく、世界の国々に大きな影響を及ぼしそうです。ルペン氏の主張は、かつ
てのトランプ氏のように「自分の国が幸せなら、他の国はどうでも良い」つまり、ロシア
がウクライナ人を虐殺しようが自分達には関係ない。「自分達はロシアの天然ガスを安く
購入し、生活を安定させる方が大切だ」というのです。ですから、フランスはNATOを離
脱し“他国の争いに、自国の兵を出さない”こともあり得る。と世界の平和より自国の利益
を優先するという主張を4割近くの国民(貧困に悩む人の数が増えている…?)が支持した
のです。
ウクライナの隣国モルドバの中に、親ロシア派が独立を宣言している国?『沿ドニエス
トル共和国』があります。この地域はロシアの全面支援を受け、モルドバ本国より、車や
燃料などが半値程で手に入るそうです。このような目先の利益に目がくらんでしまってい
ると、やがてロシアに併合され“言いたいことも言えない(誰に密告されるか分からない)生
活”を送る羽目になってしまうかもしれません。多少の不便は、ある程度我慢しても『平等』
『自由』『正義』の世の中を継続させるのか?今また世界は大きな分岐点に来ています。
民主主義・人権を維持するということは、ある意味『我慢』そして、ある程度の『豊かさ』
が必要なのかもしれません。ロシア人の平均年収は約61万円、日本人(約430万円)の7分の1
(2019年)だそうです。ロシア、北朝鮮、中国…、資源豊富な国ですが、権力者だけが豊かな
国。 民主主義、独裁主義…どんな未来を人類は選択するのでしょうか?

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