会報「あすなろ」2023(令和5年)年4月号「卒業」
いよいよ新学期(令和5年度)が始まりました。
うちの道場からも、高校生1名、中学生2名、小学生2名のピカピカの
1年生が誕生しました。どんな形にしろ“慣れ親しんだ世界から別の世界
へ”というのは億劫な事もあると思いますが、1人1人が、戸惑いながら
も自信を持って、新しい環境で頑張ってくれると信じています。
入学の前には卒業があります。卒業証書には「あなたは6(3)年間の
課程を全て修了したことをここに証します」というような文章が書かれ
ています。しかし、実際に全ての教科の内容を完璧に理解している人は、
ほとんどいないはずです。「あなたは小学5年生より賢いの?」という
クイズ番組ができるほどですから、小学校の課程ですら、全てを習得す
るのは難しいことです。実際には、全て修了どころか、1日も出席しな
い子もいます。法的には義務教育にも「留年」がありますが、実際に一
度も学校に来ない子を(どこかの国会議員のように「登院停止」にしても)
留年としても、意味がありませんから、義務教育では全ての生徒が、年齢
とともに進学し、そして卒業していきます。
どこの道場でも、小学校を卒業してしまうと(部活動の影響もあり)稽古を
続ける子が激減します。卒業する前に途中で辞めてしまう時も「空手は卒業
しましょうね」などと言うと、(芸能人がグループから独立していくような気
分にさせられてしまい?)何も手に入れることなく辞めてしまう事への罪悪感
を感じることはなくなるのです。それはさておき“空手など習い事に卒業はな
い”と思っています。いつ始めてもOK、ただ終わりはありません。単に資格を
取ることが目的であれば「黒帯を取ったら、空手は辞める」も、ありかもし
れません。しかし、黒帯になっていじめられてしまうようでは、何のための
空手か分かりません。
近年、闇バイトの強盗が話題になっています。電話による詐欺より“年寄り
の家に押し入った方が手っ取り早く現金が手に入れられる”と犯罪がずさんで
安直な方向に向かっています。闇バイトでは、ほぼ初対面のもの同士がいきな
り犯行を行います。このことが、犯行をより残忍にさせているのです。例えば
動物は、お互いが初めて出会う時、互いの優劣(どちらが強いか)を決める争い
が起こります。人間は、しばらく一緒にいれば互いにどんな人か分かります。
闇バイトで(犯罪を犯すと知りながら)集められた人達には、知り合う時間はあ
りませんから、彼らには(動物と同じ)優劣を決めたい本能が目覚めるのです。
ここで重要なことは、闇バイトに応募してくるような人間は『弱い』というこ
とです。ですから“誰でもやれるが、絶対に普通の人はやらないこと(全く抵抗
してこない老女を思いっきり殴る)”をその場でやることによって、自分の力を
誇示しようとするのです。何とも情けなく、そして恐ろしいことですが、強盗
仲間の中で「人にはできない(しない)事を、おれはやれるんだ」と、超えては
ならない一線を越える犯罪が起きてしまうのです。
どんなことでも「毎日少しずつやろう」これがなかなかできないのは、我々
の脳は嫌なものを排除するからです。ですから嫌々ながらやっているものは決
して身につきません。稽古を続ける秘訣は、1つでも良いので『楽しいこと』
を見つけることです。組手が楽しい稽古後の汗が気持ちいい。何でも良いので
す。続けることさえできれば、必ず素晴らしい宝物(強さ・自信)を手に入れる
ことができます。卒業は、それからでも良いのではないでしょうか。

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