会報「あすなろ」2023(令和5年)年6月号「教育虐待」
自分の遺伝子を受け継ぐ我が子に「幸せになってもらいたい」と思うこ
とは、親としてごく自然な感情です。ただその『幸せ』の基準は、生ま
れたばかりの子にはなく、当然のことながら親の価値観によるのです。
旧統一教会で話題になった宗教も、最近話題となってきている教育や
スポーツ、美容などでの親の過大な期待も大きな問題となっているのです。
韓国にせっせせっせと大金を貢いで、世間から愚かさの極みのように思
われた宗教の献金問題。これも本人が「騙された」と気づかないうちは
“献金すること=幸せ”だったので、当然子どもは、自立するまで(例えば
高校卒業して親と別居)は、親の行動(我が家の生活を犠牲にしてまで、
上層部の贅沢三昧を支える生活)がおかしいとは思わないのです。
しかし、自立して他の価値観と出会った時に、大きな葛藤がやってくる
のです。
「9浪」してまで、母の夢である『医学部』を目指していた子が、よう
やく志望校の医学部ではなく看護学部に合格し“人の命を直接救える手術
助手になりたい”という自分の夢を見出しました。その夢を叶えようと努
力をしていた矢先、再び母の夢のために自分の選んだ道(自分の夢)を断念
せざるを得なくなった時、ついに彼女は母親を殺害するという最悪の行為
を選択してしまいました。
また先日のワイドショーで、9歳の我が子に美容整形(二重まぶた)した
母親が、その子(子はモザイク出演)とインタビューに答えていました。母
親はシングルマザーで5人の子がいて、ホステス(お店の№1だと自慢してい
ました…)をしながら子たちを養っているそうです。母は「一重より二重の方
がかわいいでしょ」と子どもに話すと、子も「二重にしてかわいくなった」
と答えていました。母親も何度も整形を繰り返し「この顔があるから自分は
№1になっている」と、見た目の美しさが何より大切なんだと力説していま
した。これらの話題に共通するのが“親も子供も虐待の認識がない”というこ
とです。宗教も、教育も美容も「家庭内」という限られた空間の中では“自
分の置かれた環境が特別なものではない”と誰しもが思い込んでいるのです。
時々、柔道場を借りて空手の稽古をしている母子がいます。主に型の稽古を
やっていて、ビデオで撮影し、改善点を見つけては繰り返し演武しているよ
うです。ビデオで客観的に自分の動きを確認するのは、とても良い方法です。
やっている本人は、きちんとできているつもりなので、自分の目で「何をど
うしたら良いか」が分かり上達が早いのです。とにかく親が「我が子には才
能がある」と思うようになると、子どもの夢は子どもの夢で終わらず、親の
夢となっていくのです。『○○熱心から○○虐待への境界線』を超えてしま
うと、子供の気持ちと体調に変化が現れてくるそうです。その変化に一番気
づくはずの親が“子のために”という思いが、親の見栄なんだと気づかないま
までいると、大切な変化を見逃し、重大な結果(虐待)をもたらす事になって
しまうかもしれません。親と子の真の幸せのためにも、誰のため(何のため)
の努力なのかという疑問を持ち続けることを忘れてしまってはならないと思
うのです。

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