令和5年7月号 うら面「大谷選手が与え続けてくれるもの」

ほぼ毎日、ワイドショーやニュースで、大リーグでの大谷選手の活躍が

報道されます。3月のWBCをきっかけに、野球に関心が無かったのに

“野球に興味を持ち球場に足を運ぶようになった”という人もいるそうで

す。大谷選手が常に話題となり続けているのは“打者、投手として一流、

さらに走っても一流、という異次元の活躍、唯一無二の存在”だけでなく、

彼の素晴らしい人間性が、本場アメリカ人の心を離さないからです。

アメリカンドリームという言葉があります。地位や身分、国籍などに

かかわらず、実力さえあればスポーツ、芸術…あらゆる分野で巨万の富

を得ることができます。いまだにたくさんの人が、アメリカンドリームの

実現を夢見てアメリカを目指しています。実力さえあれば大金が手に入る、

この事実は、資本主義社会で“金が全て、金さえ稼げれば何をやってもイイ”

という風潮を生み出しました。

テニスの4大大会の1つ、全仏オープンの混合ダブルスで、加藤未唯選手が

優勝しました。それが世界的な話題となったのは、その前に行われた女子ダブ

ルスの3回戦での、失格騒動を乗り越えての優勝だったからです。

当初、警告を与えられた加藤選手に対して、相手チームのボウズコワ選手と

ソリベストルモ選手は猛抗議、その結果判定が覆り失格。それが物議を醸しま

した。相手チームは、ボールパーソンにボールが当たるのも見ていません。試

合後に加藤選手は手土産を持って謝罪に行きましたが、相手チームは見舞いに

行くこともなく「結局はすべて、自分たちの哀れなビジネスのためだけにやっ

た行動だったのか」と非難を浴びてしまいました。

しかし勝利のためには、相手のミスを徹底的に攻撃し、自分たちを有利に導

くことはプロスポーツの世界では当たり前のことです。試合に勝つと負けるで

は、収入に大きな差が出てくるのです。

スポーツマンシップという言葉があります。今だったらスポーツパーソンズ

シップ、とでも言うのでしょうか?(笑)とにかく、プロなんだから“勝利のため

にする諸々の努力は当然”という考え方と“本来正々堂々と戦うべきスポーツで、

競技以外の手段で勝利を求めるのはどうなの”という人間性の問題があるのです。

大谷選手は紳士でありながら、(大リーガーなのに)純粋に野球を愛する野球少年

であり続けている(前記2つのもやもやを見事に解決している)事が、世界中の

ファンの心をつかんでいるのです。

彼は、日本式の『野球道』で育ちました。道具を大切にし、仲間を大切にし、

環境を大切にする。野球を通して人間性を高めていく野球道。今、日本の少年

スポーツでは、心に負荷をかけず、楽しくやることが大事で、スポーツは「勝て

ば良いんだ」という風潮が蔓延しています。指導者は、勝つための技術さえ伝え

られれば優秀とみなされます。しかし、練習の後(面倒な)片付けもさせず、技術

ばかりを磨いていても、大谷選手のような人間は育ちません。

大谷選手の活躍を見る度、 今楽しいことが良いのか、将来楽しめることが良

いのか…   いつも考えてしまうのです。

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