会報「あすなろ」2025(令和7年)年2月号「人との関わり」
定年退職してから、ジムに通っています。以前にも述べたことがありますが、ジムに来る人の目的も、トレーニングのやり方も人それぞれです。当初、ジムに通う人はボディービルダーのようなマッチョばかりかと思っていましたが、実際は全く違っていました。マッチョを目指すなら、もっと専門的なところに行くはずで、街のジムに通う多くの人は「今の体を何とかしたい」とか「交流の場が欲しい」といった感じの人が多いように思います。
体型としては、ぽっちゃりした人が多い気がします。中には「よくぞそこまで脂肪を蓄えたな」という人がいます。ランニングマシーンに乗って、頑張って歩いていたな、と思ったら数分で降りてしまいました。大きなお世話ですが「あれじゃ、脂肪は燃焼しないだろう」と思いつつ、それだけ運動が続けられる人なら、あそこまでは太れないか…と、ある意味納得しました。反対に、骨と皮だけのような人もいます。その人は熱心に歩いたり、走ったりを長時間続けています。結構きれいな人ですが、体型を見ると(ナナフシを思い浮かべ)ぞっとしてしまいました。『美』の感覚というのは「ホント人によって違うものだな」と改めて思わされます。
大きなお世話ついでに、もう一言言わせてもらえば、多くの人が「何のためにそのマシンを使っているのか」を理解していないように思います。筋トレ1つとっても「持久力を上げたい、あるいは筋肉を太くしたい」という意識はなく、ただ、漫然とトレーニングしているようです。もちろんどのように運動するかは、個人の自由ですし、何もしないよりは遙かに健康的だと思います。ただ、漫然とするトレーニングは、道場ではあり得ません。毎回毎回、準備体操の後に取り入れている『基本』にも大切な意味があります。
私はあまり社交的な人間ではないので、自分から話しかけたりはしませんが、何度も顔を合わせていると、やがて挨拶をするようになり、話をするようになります。その中で知り合いになった85歳くらいのおじいさんは、ちょこっとトレーニングをすると、すぐ誰かと話をしてしまいます。私は「せっかくジムにきているのに、時間がもったいないな~」と思ったのですが、そのおじいさんは「家に1人でいてもTVを見ることくらいしかすることがない。ジムは空調は効いているし、誰かと話をする時間もあり、体も鍛えられる」と“話のついでに体を鍛える”ことが目的であるようで、ほぼ毎日通ってきているのです。
先月の会報に「いろいろな人とのつきあいの中から、自分にない考え方と出会ったりしていくのも楽しいことだ」と書きましたが、我が身を振り返ってみると、教師という仕事と、いろいろな趣味を通して出会った、たくさんの人から影響を受け、育ててもらったと思うのです。どんな人も、他人との関わりを全く持たずに生きていくことはできません。今、一年で一番寒い時期ですが、毎回元気に通ってくる子ども達や、送迎してくれる親御さんと顔を合わせる度に、何らかの縁(赤の他人よりちょっと深いつながり)を感じます。空手という武道を通して、みんなで心と体を鍛えていける。そんな喜びにいつも感謝の気持ちでいっぱいになります。
アメリカファースト…
トランプ大統領が就任しました。1期目で果たせなかった政策を成し遂げるために、周囲をイエスマンで固めるなど、政策実現への強い意欲を感じさせています。特に就任直後に、パリ協定(地球の温暖化を防ぐため温室効果ガス削減などの世界的な取り決め)そして、WHO(世界保健機関)からの離脱を表明したのには(予想されていたとはいえ)、改めて今までのアメリカ大統領としての異質さを感じさせました。
今世界中で叫ばれている「異常気象」、これにより人類は膨大な数の人命の被害、経済の損失を被っています。“未来の子ども達のために”と世界第一位のCO2排出国の中国、第二位のアメリカなどが批准してきて、世界中で努力してきたものが、トランプ氏の「化石燃料を掘って掘って掘りまくる」という発言で、全てがぶち壊しになってしまいました。WHOも同じです。かつては人類未踏の地で生息していたウイルスなども、交通機関の発達であっという間に世界中に広がってしまうようになりました。世界中の人々がそういった病気の驚異から救われるために、各国がお金を出し合い協力していこう、という枠組みから世界で一番豊かな国が離脱することを選択したのです。さすがにこの件に関しては、世界中から批判を受け、拠出金を大幅に減らしたうえで、再加入するようですが…。
地球上の全ての生命は、何十億年も“子孫に命をつなぐ”ことによって、その種を維持してきました。その歴史の中で、最も賢いと思われる生物が“子や孫の世代に、素晴らしい環境を残していこう”という作業を放棄し“今の自分たちさえ良ければ、他の国の人々のみならず、全ての生命の未来を奪っても良い”と考えるなんて…。
未来や他の国との友好を放棄して、アメリカのためだけに今ある物(資源)を利用していけば、しばらくの間アメリカはトランプ氏の言う黄金時代を迎えるのかもしれません。しかし世界中の人々が“自分さえ良ければ”という発想で覆われていったら、人類はどうなっていくのでしょうか?

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