会報『あすなろ』2014年7月号

支部長の独り言 『心地よさからの脱出』

 

以前、私のゴルフの話をしました。つけてしまった癖を取るために、ほぼ毎日練習しているのに、なかなか思うように体が動いてくれません。実はこれは、脳のある働きによるものなのです。我々人間の脳というのは、よくできているようで、案外おおざっぱなところがあるのです。

例えば人の顔を見るときに、顔の特徴はよく覚える割に、顔自体の認識は結構いい加減なのです。絵文字がいい例ですが、わずかな線で描かれた文字からも、我々は表情を読み取ることができます。心霊写真なども同じです。壁に3つのシミがあるだけで、脳は人の顔と認識してしまい(輪郭誘導現象)ます。このように脳は、結構マイペースで働いているのです。

基本の大切さに関しては、何度も繰り返していますが、引き手の手首が曲がってしまったり、前足のつま先が、外に開いていたりと、それぞれが身につけた癖は、なかなかとれないのです。これは我々の脳の“変化を嫌う”性質によるものです。空手の基本の動きも、ゴルフのスイングの動きも、我々の日常の動きとは違った動きが要求されます。この違った動きに対して、脳は『違和感』を持つのです。初め感じていた違和感は、練習(稽古)を続けていくうちに感じなくなっていきます。この時、普通その動きを会得した、と考えてしまうのですが、十中八九元の動きに戻ってしまうのです。新しく入ってきた動きに対して、脳は、この変化を無意識のうちに、元の動きに変換していってしまうのです。だからこそ、型の競技は、誰かに見てもらう・ビデオに撮るなどによって、違いを確認し、その都度修正していく必要があるのです。この脳の特性を知らないと、自分では正しい動きをやっているつもりでも結局、間違った形を何度も繰り返す(以前述べたように間違った練習(稽古)は、何回やっても間違い) で、ちっとも上達しないことになります。

運動に限らず、脳は、今までの習慣(これが脳にとって心地よい)を変えることを嫌うのです。ですから何か新しいことを始めようとした時、カンフォタブルゾーン(心地よさを感じる範囲)からの脱出(つまり、常に違和感を感じながら、新しい習慣を作っていくこと)が大切なのです。

実は、人間関係も同じです。人見知りという言葉がありますが、これも脳が変化を嫌う性質によるものです。だからといって、心地よい仲間ばかりでは、新しい発想も生まれなければ、楽しみも決まったものになってしまいます。新会長の鶴岡さんが、審査会の後、指導者と保護者の懇親会を設けてくれました。過去にも何度か、このような場がありましたが、今回はかなりの人数が集まって和やかな宴となりました。このように何かのきっかけで、新しい人との出会いが、人生を更に楽しく、充実したものにしてくれます。空手という共通の趣味?のでは、職場の地位の上下もなければ、年齢の壁もありません。

かつて、一度やったことがありますが、温泉+スキーのような楽しみが、空手の仲間で企画され実行できたら、また素晴らしいことだと思います。

支部長 重田紀元

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