会報『あすなろ』2014年9月号
支部長の独り言 『楽することは…?』
最近は、地球温暖化の影響か1年のうちでも“いい季節”というのが少なくなりました。暑い日(寒い日)が長く続きますと、その中で稽古を続けていくのは、かなりの肉体的・精神的な負担があるはずです。それなら、エアコンの効いた快適な部屋でのんびりしていた方が、体には負担がかからず、いいのでは?という考えも出てきます。以前も触れましたが、楽という字は「らく」とも「たのしい」とも読むことができます。ここでもう一度、楽をすることは楽しいことかを考えてみましょう。
お金持ちなら簡単に手に入れられる物と、同じ品物でも何日も何ヶ月もお金を貯めて、ようやく手に入れた物の方が、ありがたみ・感動が大きいように、人が幸福を感じるのは、高さ(物や金を多く持つこと)ではなく幅であると、以前に幸福の基準について述べたことがあります。人の体も同じです。暑い(寒い)中、体を動かすことは辛いことですが、それをやるからこそ、エアコンの効いた部屋で、のんびりすることの喜び・ありがたさを感じることができるのです。快適な生活の中で、更に(安直に)快楽・幸福感を得ようという発想が、薬物に手を出させ(結局身を破滅させ)てしまうのです。更に、体を動かすことにより、私たちは健康な体を手に入れることができます。週に2回でも体を動かすことにより、成長期の子どもは、神経系・筋肉等の発達、更に辛さに耐える力を。大人は老化速度を遅く、そして運動能力を維持していくことができます。
仕事を定年退職し、のんびりとした生活ができるようになった老夫婦が、かつてから憧れていた世界遺産のマチュピチュ(ペルーにある古代インカの空中都市)へのツアーに参加したけど、歩くのが辛く、途中で引き返してきた。という話を聞いたことがあります。日本は世界に誇る長寿国ですが、それまで一生懸命働いてきたご褒美として与えられた老後の生活を、旅行やスポーツなどをしながら楽しく過ごしていける人と、病院のベッドの上で天井を見ながら送る人、同じ余生が与えられたとしたら、どちらが幸せか、考えるまでもないはずです。
最近道場を見ていて“空手の稽古を生活の中のプラス(アクセント)として利用できているメンバーがいる”ことに気がつきます。決して無理はしないのですが、稽古への参加を半強制的に(もちろん自主的に)自らに課しているのです。暑い(寒い)中、汗をかきに出かけることは、何度も言いますがとても億劫なことです。でも、その億劫に打ち勝って実際にやってみると、何とも言えない爽快感を感じることができます。クーラーの効いた家の中にいれば、それは確かに快適でしょうが、体の耐性はどんどん低下していってしまうのです。道場で汗をかいて新陳代謝を活発にし、健康な体を手に入れる。最後はなんだかんだ言っても、結局健康であることが、幸福を手に入れることの第一歩となるのです。
支部長 重田紀元
