会報『あすなろ』2016年1月号

支部長の独り言 『日本の心』

テレビ東京の番組で『和風総本家』という番組があります。正月に家でTVを見ていたら、その番組の再放送が放映されていました。その中で『世界で見つけたMade in Japan』というコーナーがありました。これは外国で、メイド・イン・ジャパンの製品を愛用している人を探し、その人にその製品がどのように日本の工場で作られているかを紹介するものです。正月の再放送では、イトーシンというピアノの調律ハンマーを作っている会社と、山忠というアイスピックを作っている会社が紹介されていました。


ノルウェー、オスロの調律師ギスレさんは36歳の若さでノーベル平和賞授賞式で演奏されるピアノの調律を担当するほどの腕前。10年ほど前まで、彼はイギリス製の調律ハンマーを使っていたが、今では日本製の調律ハンマーが欠かせないと言います。ギスレさんはピアニストの音の好みに合わせて調律するといいます。このような微妙な調整は、日本製の調律ハンマーが一番なのだそうです。このギスレさんに日本の職人が調律ハンマーを作っている様子を見せると、彼は、専門分野に誇りを持って完璧な仕事をしている姿をみて感動し、日本の職人に向けて「あなたたちの作った道具で私は家族を養っている」などと感想を述べました。調律ハンマーを作った職人たちにも、ノルウェーでのハンマーの活躍の様子を見せます。1つの道具を通して、遠く離れた人たちが『信頼』という固い絆で結ばれていく様子に感動し、同じ日本人としての誇りを改めて感じました。山忠のアイスピックも同じで、ロサンゼルスの老舗レストランのバーで愛用されていました。どちらの話題も共通なのは、それらの製品は手間暇かけられた手作りであるということです。機械で作れば簡単にできる物を、使う人の立場に立って、微妙に加工し調整していくのです。そのわずかな差が、違いがわかる一流の職人に「これでなければ…」と言わしめるのです。今、我々の身の回りには安価な商品であふれかえっています。アイスピックだって100均に行けば、手に入れることができます。しかし、4,000円(山忠のアイスピック)出しても、それを求める人もいるのです。世界中の人から愛されるMade in Japanの製品は、日本の職人技によって生み出されています。しかし、どこの町工場も後継者不足だと言います。今、日本の若い人は、1つのことを成し遂げるために単純な作業を何度も何度も繰り返していかないと、身に付かないような仕事を敬遠するのだそうです。今の日本人が失いかけているものが、まさにそれなのです。武道の真髄は、己を鍛えることにあります。面白くない?基本を体が覚えてしまうまで繰り返すのです。私は一年の初めに、改めて今年の稽古の目標を確認することができたような気がします。皆さんは空手の試合での勝ち負けを意識していきますか、あるいは健康増進のために頑張りますか、人生の生き様である武道であると稽古に臨んでいますか。いずれも有りだと思いますが…。

支部長 重田紀元

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