会報『あすなろ』2016年7月号「メンタルトレーニング」

支部長の独り言 『メンタルトレーニング』

日本のスポーツは、武道の延長(武道的発想が中心)として発展してきました。かなり前の話で恐縮ですが『巨人の星』というアニメが大ヒットしたことがあります。内容はスポーツ根性論そのものでした。しかしこのアニメの大ヒットは、その後のスポーツアニメに大きな影響を与えました。当時のスポーツは修行的要素が強く、人格の育成・礼儀を育むための厳しさが第一として、その結果として技術や根性が身につくと考えられていました。私が中学生の頃は、とにかくスパルタで何かといえば「気合い・根性」でした。この根性論に疑問符が打たれるきっかけとなったのが、1984年のロスオリンピックだと言われています。

陸上・水泳・重量挙げなど数多くの種目でメダルが期待される中、たくさんの選手が緊張のしすぎで本来の実力を出し切れず、予選落ちが続出、その結果、日本選手団は惨敗。という苦い教訓を得たのです。もちろん厳しさの中で、我慢・耐えることを学ぶのも大切ですが、オリンピックの惨敗だけでなく、多くのスポーツ不適応少年少女を排出してしまったのも事実かもしれません。
一方、楽しむことを前提にスポーツが始まったヨーロッパでは「気持ちよくプレーするためにはどうすればいいか」が大きな要素でした。人間が「楽しい」と感じるときには、多少の緊張感をもたらす脳波が出ているといいます。つまり緊張感は強すぎても、弱すぎてもダメで、この心地よい緊張感を得るために、メンタルトレーニングが発展したといいます。メンタルトレーニングは

  1. 深呼吸やストレッチによるリラクゼーション
  2. 円陣を組んで大声を出すなどして気持ちを高揚させるサイキングアップ
  3. 失敗に意識を向けない技術としてのルーティン(ラグビーの五郎丸選手で有名になりました)

などの方法を組み合わせて行います。ただ、どんな方法も自分のものとなってはじめて意味を持つのです。メンタルトレーニングで最も重要なことは『目標設定』だと言われています。なぜやるのか?目標があるからこそ、人間はやれるのです。「明日はがんばる」ではダメなのです。明確な目標を立て、そのために「明日は」「今週は」「今月は」「1年後は」と具体的にやることを整理しておきます。そしてイメージトレーニング(大勢の中で堂々とプレーする自分の姿を)で、頭の中で理想的なパフォーマンスを描く事を組合わせます。そういった繰り返しで、大脳にいろいろな情報がインプットできるようになります。はじめは、思うようにいかず失敗することが多いのですが、挑戦と失敗を繰り返す打ちに、ミスが減ってきて最終的に「自然に体が動いた」という状態を作れるようになるのです。メンタルトレーニングは、大脳を活発に働かせます。「プレー前のドキドキ(ストレス)をいかにコントロールするか」こんなことも、それを楽しめるようにトレーニング(頭を使って)していくのです。こういう事を繰り返し、大脳に刺激を与える意識を持てば、スポーツや武道は、(年をとっていっても)いつまでも楽しめるのです。

支部長 重田紀元

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