会報「あすなろ」2017年10月号 「基本はバッチリ?」
御年72歳の女優Y永S百合さん。とてもそんな歳には見えません。
科学技術の進歩に伴い、老化のメカニズムも少しずつ解明されていき、化粧品や美容整形により
肌の若さが保てるようになってきましたが、まだ残念ながら『老い』そのものをくい止めるまで
には至っていません。
Y永さんのように女優というのは、美しさを保つことも仕事の一つなのかもしれませんが、将来
あれだけ若くいられる可能性を現実に見られることは、一般の人にとっても、大きな希望を与え
てくれているはずです。
我が道場を眺めてみると“道着を着て実際に活動している年代層の幅広いこと”に気が付きます。
その1つの理由が、過去に何度も述べたように“勝ちだけを求める空手というスポーツを学ぶの
ではなく『空手道の実践』つまり”人生を力強く生き抜く力をつけること”という基本方針にあると
思っています。
年齢層が幅広いということは、道場生は自分たちの未来の姿を実際に見ることができますし、
指導者にとっても、元気な子どもたちの姿からエネルギーをもらい「いつまでも子どもたちと一緒
に元気で活動し続けたい」という励みになります。
道場では基本に時間をかけています。基本については、勘違いしやすいので一言。よく「自分は
黒帯になったから、もう基本はできているからやらなくていい」という考えを持つ人がいます。
しかし「基本ができた」なんてことはないのです。“いつも繰り返すのが基本”なのです。かつて
先輩が「空手は湯のごとし、常に熱を与え続けなければ、すぐに水に戻ってしまう」という言葉を
言っておられました。
手前味噌になってしまいますが、私は一流の選手でも、特別優れた身体能力がある訳でもありません。
それでも今年の全国大会で(10年ぶりの参加で再び)優勝できたのは、試合用に何か特別な稽古をした訳
でもなく、週3回の稽古(で、地道に基本)を欠かさず続けていたおかげだと思っています。
まさに『空手は湯のごとし』を実感しています。ただどんなに頑張っても年齢とともに体力は落ち、
ガタ(痛み)が出てきます。いくつになっても活動し続けていける秘訣として、前回述べた『脳をだます
方法』が有効であると信じています。
かつては即手術と言われていた椎間板ヘルニアですが、今はほとんど手術をしないそうです。
同じ状態でも、痛みを感じる人と感じない人がいるのです。痛みを感じない人の何人かは、自然に
治ってしまっているというのです。
痛みというのは不思議なもので、試合や喧嘩?で極度に興奮した状態の時に殴られても、あまり痛みを
感じません。これは交感神経が興奮し、アドレナリン(痛覚の麻痺作用がある)が分泌されるためと言われ
ています。
逆にいつも「あそこが痛い、ここが痛い」と言っている人は自分に負の暗示をかけ続けているのです。
痛い痛いと言っていると、脳は「本当に痛いのだ」と認識します。私も毎晩寝る前にはあちこち湿布
をしていますが、起きているときは“姿勢を正し、笑顔で生活すること”を意識しています。
人間の潜在能力というのは、計り知れないものです。『痛み』(他にも人生で避けられないもの)とも
うまく付き合っていきましょう。

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