会報「あすなろ」2017年12月号 「精神の大切さ」
昔から言い伝えられてきた“病は気から”という言葉が「医学的に証明された」というニュースがありました。
ストレスから病気を誘発してしまうのが人間ですから、当然と言えば当然のことかもしれません。とにかく
心(精神)が人間の活動の多くの部分に影響を及ぼすことは間違いありません。
同じように道場に通っている2人がいるとします。
1人はメキメキ上達していくのに、もう1人はなかなか上達しないのです。本人同士は、気づいていない場合
が多いのですが、傍から見ていると明らかな差があるのです。
人間が行動するときには、脳内のたくさんの神経細胞が神経線維を通して信号を伝達していきます。
初めのうちは、いろいろな細胞を経由していきますが、同じ動作を繰り返す(これが基本を繰り返す意味)うち、
だんだん働く神経細胞が決まり、通り道も太くなっていきます。そして何時しか最短ルートが出来上がっていき
ます。この状態が自然に体が動くようになった状態です。
ここで大切なことは、何度も私のゴルフを例にとって述べてきたように“間違っている稽古を何度繰り返しても
うまくならない”という事です。組手ではできるだけ脱力している状態から、攻撃や防御の瞬間に短く息を吐きな
がら、小指・親指やわきの下、丹田に力を入れ、一瞬の緊張の後、再び脱力(形は崩さず)します。外から見える手
や足の動きだけでなく呼吸や筋肉の使い方など、トータルとして脳の神経細胞が働かないと正しい基本は身につ
かないのです。これには絶対に本人の意識がないとできません。
冒頭に述べた2人の差はまさにそこにあるのですが、小さな子は、そこまで深く考えられません。
それは特に準備体操と基本の取り組みに、明確な違いとして表れてきます。小学校の低学年くらいだと、組手は
一生懸命にやるけど、基本とか型は(面白くない?ので)だらだらとなってしまう子が多いようです。基本の取り組
みが甘くなる子は、外から見える動きだけで、基本の動きが簡単であると判断しています。
だから、何度もやらなくてもできる。と本気で思っていますから稽古に熱が入りません。
しかし大人になって空手を始める人は、自分なりの明確な目標があり、経験的に繰り返しの大切さを理解してい
るので、真剣に取り組めるのです。
子どもの場合は、親に言われて(親の願いはわかりますが…)しかたなく道場に来ているうちは、なかなか上達し
ません。
うまくなる子を見ると、自分が努力しないことを棚に上げて「あの子は運動神経が良くてイイな」と自分の取り
組み不足が原因とは考えません。
しかし「空手が好き」「(実際いじめられて)強くなりたい」と自分で意識し出すと、ぐんぐん上達していくので
す。“好きこそ物の上手なれ”という諺の通り、やっていて楽しい、自分の成長が実感できた、などのプラスのイ
メージが作れると、さらに真剣味が増します。そして、この『やる気』だけは、こちらがどんなに怒鳴ろうが、
作ることができません。
ここで私が稽古中によく言う2つの言葉をもう一度思い出して欲しいと思います。
「自分の帯の色に恥じない空手をやろう」と「だらだらするなら快適な家でTVでも見ていた方が楽。
せっかく稽古に来たからには、辛いことを進んでやっていこう」です。
平成29年12月2日
支部長 重 田 紀 元

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