会報「あすなろ」2021(令和3年)年11月号「入場行進の消えた運動会」

かつての小中学校の運動会(体育祭)の練習で、最も時間を費やしていたのが、入場行進や

組み体操・ダンスといった『団体種目』でした。「ゆとり教育」が叫ばれ、「軍事訓練み

たいだ」「個性を大切にしないと…」等と、一見耳障りの良い言葉と共に、団体行動種目

は運動会から姿を消していきました。「一糸乱れぬ行進」を作り上げるのは、とても時間

がかかります。児童(生徒)はみな、身長も違えば、歩くテンポも歩幅も違います。それぞ

れが勝手に歩けば、整列のままの行進などできるはずがありません。小学校の運動会から

少しずつ練習して、中学校の体育祭で、ようやく人に見せられるレベルの行進になります。

整列のまま移動するためには、常に周囲の児童との位置を確認しながら、自分の速度、歩

幅を調整しなければなりません。小中学校で、こうした訓練を繰り返すうちに、自然と全

体(社会)の中の自分を認識できるようになるのです。

ところが今の子は、集団訓練の経験がありませんから、(道場生ですら)稽古の前後に「白

線に揃えて」と言われても、等間隔に並べません。今の子は『集団の中の自分』を見る機

会がどんどん減っているのです。

ただ、学校に通っていれば集団の中でもまれて、ある程度自分を抑えてみんなと歩調を合

わせたり、社会生活で必要なマナーなどを学ぶことができます。

ところが、以前紹介した小学生ユーチューバーが中学へ入学、となった時に「(自分は大金

を稼げるんだから)中学校で学ぶものなどないので、僕は学校に行かない」と宣言をしたそ

うです。こんなことを考えている人間が、そのまま大人になれば、先月号の『ママ友のボス』

と同じレベルの人間ばかりになってしまいます。学力があるとか、お金が稼げるといった能力

と“社会の中でいい人間関係を築いていける”とか“幸せな人生を送れる”という能力は、また別

のものです。

何度か『あすなろ』で登場する(40年しても上達しない)私のゴルフです。

運動は得意な方でしたので、スキーでもテニスでも、最初にちょっと教わると、後は自分で何

とか形にすることができました。ゴルフのスタートも同じでした。初めはみるみる上達したか

に見えましたが、僅か2年ほどで進歩?は止まり以後初中級レベルを行ったり来たり、なかな

か上達しません。

ゴルフを始めたのと同じ頃、道場に入門し始めた空手は、内心「そんなこともうできるよ~」と

思うこともたくさんありましたが、何度も何度も基本を繰り返しました。結果的にゴルフは未だ

に初級レベル、空手は黒帯、大会でもいくらかの成果を残せるレベルまでになりました。

最初に自己流の変な癖を付けてしまうと、それを直すには、初めから正しいやり方を覚える何倍

もの労力と時間がかかるのです。

今道場では、新しく入ってきたメンバーほど、早い時間に来て基本を繰り返しています。

何度も言うことですが、上達の早道はしっかりした基本を身につけることです。今のまま『あまり

楽しくない?基本』をしっかり続けていければ、数年後には『黒帯の取得』=『強い心』『自分の

身を守れる力』を手に入れられるはずです。学校でも職場でも、自分のことしか考えられない人が

増えている世の中で、空手は人生に大きな自信を与えてくれるはずです。

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