会報「あすなろ」2024(令和6年)年4月号「試合出場 …」

スポーツと武道の違いについては過去何度も述べてきましたが、一番大き

な違いは『勝利』の優先性だと思っています。私は卓球、特に日本のエー

スH本選手のニュースが流れると、ちょっと気分が悪くなります。試合の

中で(11点中)たった1点取ると「チョレ~イ」と、大声で相手選手に向かっ

て「ざま~みろ」と言わんばかりの挑発?の言葉を投げつけます。スポーツ

ニュースでは、その姿を闘志溢れる姿かのように伝えていますが、武道的に

は、少しも美しくありません。もし私が相手選手だったら「子どもの口げん

かのように一言一言汚い言葉を返しても仕方ない。絶対こいつに勝ってやる」

と思うはずです。そしてもし、その試合に負けでもしたら、悔しくてたまらず

試合に出たことすら後悔するかもしれません。

武道では戦う相手(相手も一生懸命努力している)に敬意を払って、勝っても

負けても正々堂々と戦うことが大事で、勝負は二の次です。勝っても負けても、

静かに礼をして試合場を去ります。万が一負けても、相手の真摯な態度を見て

「相手の実力が勝ったんだ、今度は勝てるように頑張ろう」と思えるはずです。

しかし残念ながら、こういった姿は大衆受けしません。相手を挑発し派手なパフォ

ーマンスをしないと映えないのです。見る人が面白く感じなければ、興行主にお金

が入りません。スポーツの選手はある意味、大衆を興奮させ視聴率を上げるための

『駒』なのです。もちろん駒でも勝者には、名声や多額の報酬が与えられるのです

が…。全日本空手道連盟(JKF)ルールの大会に、勝利を得るために出るのであれば、

それなりの勝算(私がいつも言うのは、2回戦を勝ち抜けるレベル)があって出場す

べきだと思っています。さらに、形競技では、JKFルールの動きを習得しないとい

けないので、余分な負担がかかってきます。ですから、我が子を試合に出して、

勝利(メダルを取らせたい)を味わわせたいと思うなら、我が子のレベルを指導者に

相談(確認)してもらうと良いと思います。ただ、試合に出るメリットは、勝つこと

を目指すだけではありません。大勢の観客の前で、緊張感を味わいながら自己を表

現する。これだけでも試合に参加する価値は十分あります。JKFルールの大会への

参加は、選手と保護者が何を求めているかをしっかり自覚して、エントリーして欲

しいと思います。

では、全く試合に出る必要はないか?と問われれば、答えはNOです。試合に出る

目的としては、もちろん勝利の歓喜を味わうことが最大のものでしょうが、前記の

普段味わえない緊張感を体験する。さらに今の自分の実力を客観的に評価する。

同年代のライバルを見つける。など、試合に出てみなければ得られないことがたく

さんあります。

ですから國際松濤館空手道連盟(SKIF)の2つ(近年は国際セミナーの準備のため

千葉県支部交流大会が行われていません)の大会と木更津市の大会には、是非参加し

人前で競い合い、自分のレベルを確認して欲しいと思います。勝っても負けても

『貴重な経験』が、手に入れられるはずです。

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