会報「あすなろ」2024(令和6年)年5月号「ウズラの卵」

先日福岡の小学生が“学校給食で出されたウズラの卵を喉に詰まらせ死亡する”

という事故が起こりました。僅か7歳の我が子を失った親の悲しみは、簡単に

言葉では表せません。ただ、その後の予想通りの対応が、何ともやりきれない

のです。事故の翌日、全国の小中学校で一斉に今回の事故を受け「今後ウズラ

の卵、白玉は学校給食に出さない」という通達があったそうです。まず思った

のが、ウズラの卵の生産者の今後の生活です。正直、家庭でウズラの卵を食べ

ることは、あまり多くないと思います。給食センター、中華料理店などが大き

な消費をしてくれる所でしょうか。たった1件の事故で、日本中の給食調理場

へ納入されていたウズラの卵(もちろん缶詰でしょうが…)が排除されてしまう。

生産者にとっては大打撃のはずです。白玉は、とんだとばっちりですが、(どこ

が決定したのかは定かではありませんが)文科省のお偉いさん辺りが「ウズラの

卵で喉を詰まらせるなら、白玉も危険ですよね…」などと話し合っている姿が

目に浮かびます(大笑)。誰かが包丁で手を切ったら、(以後)包丁を使ってはい

けないのでしょうか?

どんなことでも“100%安全であるもの”などないのです。事故が起こったら

といって、安直にその原因を排除する。それによって多くの不利益を得る場合

の方が多いのです。かつては至る所で食べることができた(牛の)レバ刺しです

が、2011年富山県の焼き肉店でO-157による食中毒で5人が死亡するという事

件が起きました。国はこの事態を重く受け止め、レバーの生食を禁止しました。

たった一度の事故で、それまで普通に食べられていた物を全国一斉に禁止した

のです。今牛刺しが食べたければ、お隣韓国(外国)に行くしかないのです。

以前も会報で話題に挙げた、外国人が不思議に思う日本のマナーの1つ“携帯

電話(今はスマホ)車内での使用禁止”も同様です。携帯電話がまだ貴重品だった

頃、電車の中で(自慢気に)大声で会話する人に対して「うるさくて仕方ない、

何とかしろ」という苦情に対応したのが、新しいマナー“車内での使用禁止”な

のです。手続きのしやすい物を狙い撃ちで排除する。一度禁止されると、解除

されることはほとんどありません。車内で会話している人がいるのに“スマホ

で(普通の大きさの声でも)話すのはダメ”というのは、スマホが普及した今、

訪日外国人だけではなく、多くの人が不便に感じているのではないでしょう

か。政治の世界でも同じです。ちょっとでもミスを見つけられると「辞めろ、

辞めろ」の大合唱。先日も自民党若手?議員の懇親会(まじめな会議の後の親

睦会)にコンパニオンを呼んでいたことが発覚。「服装が水着のようだった」

「口移しでチップを渡した」等々で、国会が大炎上。国会議員も低レベルです

が、議員をインタビューする記者も「女性の体に触れたことが事実なら、議員

を辞めるんですか」と辞職させることが目的のような発言をしています。

何でもかんでも、辞めれば(取り除けば)それで解決。こんな発想からそろそ

ろ脱却していかないと…。“木を見て森を見ず”という言葉がありますが、いろ

いろな問題に対応する人たちは“それを取り除いた後、どのようなことになるの

か”をも、考えた決定(報道)をしていって欲しいものです。

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